ソウルと釜山、W市長選で与党敗北 韓国専門家の見解は

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ソウル=神谷毅
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 韓国で7日に投開票され、来年3月の大統領選の前哨戦となったソウルと釜山のダブル市長選は、いずれも最大野党「国民の力」の候補が勝利した。この結果が大統領選にどう影響するのか。韓国政治を約30年間見続ける、政治コンサルタント企業の朴聖珉(パクソンミン)代表に聞いた。

パク・ソンミン 1991年、政治コンサルティンググループ「ミン」を設立。30年以上、韓国の政治と選挙を見続け、与野党ともに知己が多い。

――政権与党「共に民主党」のショックは大きいようです。

 「事前に予想された結果だ。選挙前の世論調査では文在寅(ムンジェイン)大統領の支持率が下落傾向にあった一方、保守系の最大野党『国民の力』や政権交代への支持は高まっていた。何より今回の選挙に必ず投票に行くと答えた人のうち野党支持の割合は与党より10~15ポイントも高く、野党支持者の投票への意思の強さが見えていた」

 「朴槿恵(パククネ)前大統領が2017年に弾劾(だんがい)された後、野党はその影響から抜け出せず支持は20%台前半にとどまっていた。これが最近は40%近い。有権者は『国民の力』が自分たちの望むように変わったと思っているわけではないが、今回は文政権と与党『共に民主党』に失望し、審判しなければと考えた」

――文政権から民心が離れた理由は何でしょうか。

 「政権が命運をかけたのは朝鮮半島の平和、南北関係の改善だった。しかし北朝鮮は今も弾道ミサイルを発射し、非核化は実現できていない。文大統領は米国のトランプ大統領(当時)が進めた米朝首脳会談による問題解決に賭けたが、現在は北朝鮮に厳しいバイデン政権。この政策は失敗だと国民はみている」

 「次に検察改革。確かに韓国の検察権力は強大で、権力の分散や人権重視の捜査も必要だが、政権と尹錫悦(ユンソクヨル)検事総長(当時)との対決だけが残り、国民にとっては改革の目的が分からなくなった。新型コロナウイルスへの対応でも、昨年4月の総選挙の際は欧米諸国などと比べて感染者を抑えたことが評価されていたが、ワクチン接種では出遅れ、今やコロナ対策を評価する声はほとんどない」

――ソウルや釜山の市長選では不動産問題が最大の争点といえました。

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 「文政権の政策で国民が最も…

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