変異株予防、基本は一緒だが 死亡リスク1.6倍推計も

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阿部彰芳 久保田侑暉 鈴木春香
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 新型コロナウイルスの変異株が、感染拡大の波を引き起こしはじめた。海外と同様に国内でも感染力の強さがみられ、重症化しやすい可能性も浮上している。いまのままでは全国的な蔓延(まんえん)は避けられないとみられ、ワクチンが普及するまで、医療現場などへの影響を抑えるための対策が急務だ。

 大阪や兵庫で広がる変異株は主に、英国で昨年12月に報告されたタイプだ。世界保健機関(WHO)の報告では、この英国型の変異株は従来のウイルスに比べて感染力が36~75%高い。

 英ロンドン大などのグループは、その理由について数学的なモデルを使って分析した。その結果、感染者と接触した際に感染しやすくなっていることが示唆された。感染者がウイルスを排出している期間が長いことや、子どもが感染しやすいことも推測された。ただ、子どもがとくに感染しやすいかについては、否定的なデータもある。

 英国型は入院、重症化、死亡のリスクも高い可能性が指摘されている。同大のグループは3月、従来のウイルスより死亡リスクが1・6倍高いと推計した。いまのところ国内での報告数は限られるが、南アフリカ型、ブラジル型は感染力の高さに加え、一部のワクチンが効きにくくなる点も懸念されている。

 患者が一気に増えれば、医療を逼迫(ひっぱく)させ、死者が増える。大阪の感染拡大はすでに第3波をしのぐ勢いだ。第3波では深刻な入院ベッドの不足に陥り、厚生労働省は3月、都道府県に拡充を求めた。だが、間に合わないまま「第4波」に突入しつつある。

 変異株でも、基本的な対策は、マスクや手洗い、「3密」の回避など、これまでと変わらない。しかし、その呼びかけだけでは、これまでも流行を抑えられなかった。大阪、兵庫、宮城の3府県内では緊急事態宣言に準じる「まん延防止等重点措置」が今月5日、適用されたが、対策は飲食店の時短営業の要請が主。変異株が主体の地域で、どの程度効果があるかは不透明さが残る。

 「大阪は対応が遅すぎた」と厚労省専門家組織のメンバーの一人は危機感を募らせる。別のメンバーも「僕が大阪にいたら絶対に外に出かけない。マスク会食どころではない。本当にステイホームすべきだと思う」と話した。

 国立感染症研究所が7日公表したリポートでは、英国型の変異株は「海外の報告と同様に、従来株と比べて感染・伝播(でんぱ)性が高いと見られる」と指摘。「従来と同様の対策では、これまで以上の患者数の増加につながり、医療提供・公衆衛生対策の体制を急速に圧迫する」とし、変異株の拡大で感染者の急増が見込まれる場合は、流行地域との往来を抑制することなどを推奨している。(阿部彰芳)

感染急拡大の大阪・兵庫 「変異株の影響」の声

 大阪府兵庫県で感染が急拡…

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