海外の人権弾圧、「制裁法」へ超党派議連 識者に聞く

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聞き手・佐藤達弥
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 海外で起きた深刻な人権侵害に制裁を科すための議員立法をめざし、超党派の国会議員連盟が4月6日に発足する。中国の新疆ウイグル自治区の人権弾圧では、日本を除く主要7カ国(G7)が制裁で足並みをそろえ、日本は難しいかじ取りを迫られている。議連の設立に向け、各国の人権外交のあり方などを議員らにアドバイスしてきた井形彬・多摩大客員教授(経済安全保障)に聞いた。

「人権制裁法」必要性は

 ――米国が2012年に対ロシア制裁法として制定し、16年に対象を全世界に広げた「マグニツキー法」を整備すべきだという意見が与野党の議員から出ているが、その理由とは。

 「マグニツキー法とはある特定の国家を制裁するのではなく、重大な人権侵害に関わった個人や組織に限定して資産凍結や自国への入国制限を行うピンポイントの制裁ツールだ。しかし、日本の現行法に人権侵害だけを理由に制裁を科す規定はない。国連安全保障理事会の決議があれば制裁できるが、常任理事国である中国やロシアが拒否権を使う可能性が高い」

 「マグニツキー法ができれば日本が独自に制裁できるツールを持つことになる。ウイグル問題をめぐって、米国、英国、カナダ欧州連合(EU)が3月にマグニツキー法などを用いて共同で制裁を発動したが、日本はそもそもこれに加わるという選択肢すら持っていないのが現状だ」

 ――日本がG7で唯一、その輪に加わらなかったのはなぜか。

 「マグニツキー法がないこと…

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