国会で57回謝った首相 政権占う、コロナと三つの選挙

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相原亮 笹井継夫 岡村夏樹
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 2021年度予算が26日、成立した。菅義偉首相は前半国会の成果として訴え、政権への期待を高めたい考えだ。ただ、国会論戦で追及された総務省の接待問題などへの疑念は解消されず、新型コロナウイルス対応も依然として難題だ。4月下旬に控える三つの国政選挙が政権の行方を占う分水嶺(ぶんすいれい)になりそうだ。

 予算成立を受け、26日夜に記者団の取材に応じた首相は「医療や年金、子育て、そして新型コロナウイルス対策など国民のみなさんにとって極めて重要な予算だ」と語った。「グリーン社会」への転換を促す脱炭素化や、省庁のデジタル化など自らの肝いり政策を進める考えも強調した。

 長期にわたって連日の論戦にさらされる本予算の審議は、昨秋就任した首相にとって大きな不安材料だった。実際、総務省幹部らが首相の長男が勤める東北新社やNTTから繰り返し接待を受けていた問題が明るみに出て、政府は釈明に追われた。首相が自ら起用した山田真貴子・前内閣広報官と、総務相時代からの首相側近だった谷脇康彦・前総務審議官は、この問題の直撃を受けて辞職に追い込まれた。

 今国会での首相の謝罪は57回にも及んだ。一方で、政治責任の有無については「政治責任の定義というのは無い」とかわし、事実関係の解明は総務省任せの構えだ。「接待漬け」ともいえる実態にも、政府側は「行政がゆがめられた事実は確認されていない」との説明を繰り返している。

怖いのは「五輪を前に第4波」

 それでも、直近の内閣支持率は回復傾向にある。朝日新聞の3月20、21日の世論調査で支持率は40%と、前月から6ポイント回復した。政権与党内では、新型コロナの感染者数が減っていることが好感されているとの声が上がる。

 2カ月半にわたる緊急事態宣言が功を奏し、いまの1日あたりの新規感染者数は、最多だった1月8日の7882人の2割台にまで減っている。「これまでコロナ一色だったが、内政、外交にも打って出ていける」。官邸幹部はそんな意気込みを示す。

 ただ、それはコロナ対応次第で、政権の評価が揺らぐことの裏返しでもある。首相の側近議員は「感染者が増えたら、また支持率は落ちるだろう」と、第4波の到来への不安を漏らす。政権にとって、リバウンド(感染再拡大)をいかに防ぐかが課題だが、いま全国の新規感染者数は増加傾向にある。首相が政権浮揚に期待する東京五輪パラリンピック開催にも影響が出かねない。

 自民党の閣僚経験者は「五輪を前に第4波が来たら、すぐに収束させるのは困難だ。緊急事態宣言はいま解除すべきではなかった」。ベテラン議員は「首相が掲げるデジタル庁の創設で、国民がどれだけ喜ぶかは分からない」と指摘。政権の先行きは結局、「コロナの感染次第」との見方を示す。(相原亮、笹井継夫

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