第2回工場内に高濃度の地下水汚染 議事録ににじむ苦闘の跡

有料記事永遠の化学物質

諸永裕司
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 その広報文は昨年7月22日、大阪府のホームページにアップされた。

 〈有機ふっ素化合物(PFOA等)に係る地下水質の調査結果について〉

 環境省が全国171カ所の川や地下水に含まれる有機フッ素化合物を測ったところ、大阪府摂津市の井戸の濃度が最も高かったため、府は5年ぶりに地下水を調べた。その結果を、トップページから五つ下の階層にある化学物質対策のページに載せた。

 〈PFOA 1380ナノグラム〉

 環境省が水質管理の目安とする「指針値」の27倍を超えていた。指針値は水1リットル中に、代表的な有機フッ素化合物であるPFOA(ピーフォア)とPFOS(ピーフォス)の合計で50ナノグラム(ナノは10億分の1)。

 大阪府は、環境省調査の36倍と比べて「減少しており、長期的にも減少傾向にある」と記した。

 広報文では、汚染をもたらした経緯についても触れていた。

 〈過去にPFOAを取扱っていたダイキン工業株式会社淀川製作所は、2012年10月にPFOAの使用を全廃し、同製作所敷地内のPFOAを含む地下水の処理等の対策を行っています〉

 空調機メーカーとして知られるダイキン工業は、1960年代後半からPFOA(ペルフルオロオクタン酸)を製造し、様々なメーカーに提供してきた。ところがその後、海外で健康被害が指摘されるなどしたため方針を転換し、15年までに全廃したという。

 残留性のある化学物質による「体内汚染」。その知られざる実態を4回の連載でお伝えします。第1回では、環境省の全国調査で最も汚染が深刻だった大阪府摂津市の動きを追いました。第2回は、10年以上にわたる地下水汚染対策の苦闘をたどります。

 はたして、汚染はどのように…

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