ロシア極東、マクドナルドがついに来た 「ずっと憧れ」

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ウラジオストク=石橋亮介
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 ロシア極東のウラジオストクとハバロフスクに昨年末、米国生まれのハンバーガーチェーン、マクドナルドが開店した。東西冷戦下で米国と対峙(たいじ)した旧ソ連時代の末期、モスクワに進出してから30年。ついに広大なロシア極東への初進出がかなった背景とは――。(ウラジオストク=石橋亮介)

12歳、初めての注文は

 「ずっとあこがれだった。すごくおいしい」

 昨年12月21日、マクドナルドのウラジオストク1号店に開店とほぼ同時に入ったアントニーナさん(12)は、55ルーブル(約80円)のチーズバーガーとポテト、コーラを手に満面の笑みだった。一緒に来たのは仲良しの同級生2人。「高くもないし、これからはここが集合場所だね」とうなずきあった。

 ウラジオストクには翌日までに3店がオープン。1号店は市内のショッピングモール1階に入る。壁一面ガラス張りの明るい店舗の一角には、「極東1号店」と書かれた金色のプレートが輝き、最新式のタッチパネル式の注文機が並ぶ。

 13歳の孫と一緒に来たリディア・チモフェエワさん(78)は、「開店のうわさを1年ぐらい前に聞いてずっと楽しみにしていた。かつては閉鎖都市だったウラジオストクにマクドナルドが来るなんて、すごく誇らしい」と語った。

 ロシア経済の中心地であるモスクワから離れたウラジオストクは、モスクワなどロシア西部に比べると外国資本のチェーン店の進出が遅く、米国系ではケンタッキーフライドチキンの進出も2016年だった。

 その分、地元資本の人気レストランが多く、中国や韓国などからの観光客にも人気だ。マクドナルド1号店近くの人気レストランで働くユーリー・ポリャコフさん(25)は「快適で、便利で、味もまあまあ。今のサービス水準を保てるかが今後の勝負だね」。お手並み拝見、といった表情を浮かべた。

越えられなかった壁

 マクドナルドがロシアに初めて進出したのは、ソ連末期の1990年1月だった。

 社会主義経済が行き詰まり、社会が恒常的な物不足にあえいでいた当時、モスクワ中心部の1号店には数万人の長蛇の列ができた。当時の朝日新聞はこう伝えている。店内に「西側世界の香り」が満ち、笑顔の店員や、商品が1分もしないうちに受け取れるサービスが最大の魅力――。

 当時のビッグマックの値段は…

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