「言った言わない」の泥沼 東北新社、総務省ずさん審査

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 菅義偉首相の長男が勤める放送関連会社「東北新社」の衛星放送認定の一部が取り消される見通しになった。総務省による衛星放送事業者の審査や認定がずさんだったことが明白になりつつあるが、審査や認定の手続きが進むさなかにも、東北新社による総務省幹部らへの接待は繰り返されていた。

 12日の参院予算委員会外資規制違反を見逃していた総務省の責任を問われた武田良太総務相は「総務省側の審査も十分でなかったと考えており、こうした事態が生じたことを重く受けとめている」と述べた。

 約1カ月前、東北新社から総務省幹部への接待問題が発覚した当初、武田氏は「放送行政自体がゆがめられているとは一切考えていない」と強調していた。

 しかし、週刊誌の報道で、会食時に総務省幹部らが放送業界に関する話をしていた音声データが明るみに出ると、武田氏は「新たに疑念を生じさせる事態となった。関係者へ再聴取を行う」とトーンダウンした。さらに立憲民主党の小西洋之氏から放送法の外資規制違反を指摘され、説明は崩れていった。

外資比率のミス、走った激震

 総務省で放送行政を担う情報流通行政局に激震が走り始めたのは9日。東北新社から「ミスで外資比率が間違っていた」と伝えられたからだった。

 問題を指摘された5日の時点で、東北新社からは、2017年1月に「ザ・シネマ4K」の認定を受けた時は、外資の出資比率は「19・96%」であり、その後に2割に達して違法状態になったとの説明を受けていた。総務省としては2割以上になった時点で認定を取り消さないといけないが、認定段階では2割未満だったこともあり、省内には「今さら取り消しは難しい」との見方が多かった。

 しかし、東北新社の新たな報告で、実際には認定申請時から「20・75%」と2割に達していたことがわかった。「ぎりぎりセーフ」ではなく、認定時から「アウト」だった。「重大な瑕疵(かし)だ」(武田氏)として認めざるを得なくなり、認定の取り消しに追い込まれた。

 一方で、4K放送は設備投資…

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