「誰かに言われてから(値下げを)やるのではない。NHKは自主自律。自分で決めて自分でやる」

 1月13日、東京・渋谷の放送センター。この日、2023年度に受信料を値下げすると発表したNHKの前田晃伸会長は、こう強調してみせた。だが、昨年8月の会見では、受信料は3年間据え置くと説明していた。わずか5カ月後の大きな方針転換の裏には何があったのか――。局内外からいぶかしむ声が聞こえている。

 NHKが昨年8月に発表した中期経営計画案では、受信料を21~23年度の3カ年据え置く方針を掲げていた。20年10月に地上波だけの契約で月額35円、衛星放送も見られる契約で60円を値下げ予定だったことを理由に、早期の再値下げには後ろ向きだった。ある幹部は「手を抜いて質のいいものはできない。質が下がれば、視聴者はNHKを見なくなるうえ、受信料が高いと感じる」。また、昨年12月の定例会見で、前田会長は「物事には順番がある」「値下げできる環境を整える」と語っていた。

【連載】NHK受信料 引き下げはなぜ決まったか?(全2回)のページへ
 NHKは2023年度に受信料を引き下げる方針を決めました。なぜ引き下げを決断したのでしょうか。2回にわたってその舞台裏に迫ります。今回は第1回です。

 だが、昨年9月の菅義偉政権の…

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