新型コロナによる混乱が続いた2020年、自ら命を絶った児童生徒は500人近く(暫定値)に上り、過去最多となった。19年と比べて4割以上増え、コロナ禍が子どもたちにも深刻な影響を与えていることがうかがえる。子どもたちに何が起きているのか。自殺を防ぐために必要なことは――。
東日本に住む中学教員の男性はこの冬、かつての教え子の高校2年の女子生徒が自死していたことを知った。「こんなことは想像もできなかった。ショックです」。戸惑いと、つらい気持ちがいまも続く。
生徒は中学校ではとても明るく、友達も多かった。ただ、幼いころに母親を亡くし、その後の家庭環境に不満げな様子を見せたこともあった。卒業前、「あと(高校で)3年待てば社会に出られる」と励ますと、「わかりました」と答えたという。「心の痛みを見せない生徒だった」
男性は、生徒の友人たちへの影響を心配する。「『なぜ』という疑問や、自分を責めるような気持ちを大人以上に抱いてしまうのではないか」
2月15日にあった、文部科学省の子どもの自殺に関するウェブ会議。そこで報告された内容は、ショッキングなものだった。厚生労働省の統計をもとに文部科学省が分析した結果、20年の児童生徒の自殺者数は479人。小中高校生のいずれも19年より増え、特に女子高校生は138人と倍増した。厚労省が今月上旬に公表した最新の統計では、20年の児童生徒の自殺者数は498人とさらに増えた。
文科省は、このうち479人…
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