納骨堂に「桜並木」 苦境の花農家支援 東京・港区の寺

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岩田恵実
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 コロナ禍でイベントの中止が相次ぎ、苦境に立つ花卉(かき)農家を支援したいと、東京都港区の寺で「桜並木」を作る企画が進んでいる。農家が育てた枝木1千本を生けて通り抜けを楽しんでもらうもので、フラワーアーティストや卸業者などが力を貸した。感染防止対策をして、8~16日に実施する予定だ。

 企画の舞台になる寺は浄土宗の瑞華院(ずいけいん)。桜並木は、近くに新設したばかりの納骨堂の中や周囲に作る。花器を約40メートルにわたって並べ、大輪でピンクの濃い「大漁桜」や小さい花をつける「プリンセス雅」など10種類近くの枝木を1千本生ける。直前まで、農家が温室で育てる。上人(しょうにん)の福井威人(いじん)さん(45)は「たくさんの人に見てもらい、世の中が明るくなればよいと思う」と話す。

 元々は、花を使った近隣住民向けのイベントを催すつもりだった。納骨堂の工事で周囲に負担をかけたので、感謝の思いを伝えようと考えていた。そんな時に、フラワーアーティスト赤井勝さん(55)から花卉農家の苦悩を聞き、少しでも協力したいと考えるようになったという。コロナ禍で春の彼岸の墓参りを控える人に、先祖のことを思い出すきっかけを作りたいとの気持ちもあった。

 赤井さんと話し合い、農家から桜の枝木を仕入れて並木を作り、公開する計画を立てた。花卉を扱う東京都中央卸売市場大田市場の卸業者に協力を求め、群馬、埼玉、千葉、山形の各県などの農家を紹介してもらった。

 仲卸売業者の平野敏昭さん(58)は「開店祝いなどがなくなり、デパートやホテルが館内に飾る花を減らした。大きなイベントの中止で4千本の桜が廃棄されたこともあった。農家の力になりたかった」。枝木を出荷する千葉県印西市の農家酒井規之さん(74)も「家庭向けの短い枝木を出荷するなど工夫してきたが、やっぱり苦しかった。イベントに参加できるのはありがたい」と話す。

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