人工呼吸器、あえて望まぬ判断 コロナ治療に家族の苦悩

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多鹿ちなみ 山中由睦
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 国内の死者が8千人を上回った新型コロナウイルス感染症。東京都に次いで1100人を超す死者が出ている大阪府では、7割が軽症・中等症病床で息を引き取っていた。人工呼吸器の装着を望まず、死亡する人も多いという。なぜ、助かる可能性がある治療を選択しなかったのか。医療の現場を探った。(多鹿ちなみ、山中由睦)

 大阪府内にある、ベッド数400ほどの公立の総合病院。昨年3月から、計600人ほどのコロナ患者を受け入れてきたが、8人が重症病床のある病院に搬送されないまま亡くなった。大半の患者が脳梗塞(のうこうそく)などの基礎疾患を抱えていた。

 病院によると、死亡例の多くは、介護施設のクラスター(感染者集団)などで感染し、搬送されてきた高齢者だった。昨秋の「第3波」以降に患者が増えるなかで、病院スタッフは患者の容体が急変した場合の対応に追われた。

「意識ないまま亡くなるなら」

 容体が悪化するスピードは速く、体外式膜型人工肺(ECMO(エクモ))などの機器を備えた重症者向けの医療機関に転院させる時間が十分にないこともあったという。肺を侵され、呼吸もままならない患者に対してできることは人工呼吸器の装着ぐらいだが、それを選択しない患者や家族も多かった。なぜ、着けなかったのか。

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 この病院の男性医師によると…

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