エンジン部品は消える? 老舗メーカーが挑むEVの大波

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三浦惇平
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 自動車業界に「脱ガソリン車」の大きな波が押し寄せている。電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)は、ガソリン車と構成部品が大きく変わる。「エンジンが消える未来」にどう生き残るのか。老舗のエンジン部品メーカー、愛三工業愛知県大府市)の野村得之(とくひさ)社長(60)に今後の戦略を聞いた。

愛三工業 本社・愛知県大府市。1938年設立。自動車部品を製造し、燃料系部品が売上高全体の約4割、吸排気系が約3割を占める。販売先別の売り上げはトヨタ自動車が約5割を占める。2020年3月期の売上高は2054億円。従業員数約1万1千人。

 ――自動車部品のなかでも、燃料系や吸排気系の部品を中心に製造していますね。

 「戦後から自動車部品を提供してきた老舗の会社です。燃料と空気を混合する『キャブレター』の生産から始まり、燃料をエンジンに送り出す『燃料ポンプ』や、エンジンに吸入される空気量を制御する『スロットルボディー』などを手がけています。ガソリン車の内燃機関をよく知っているというのが強みの一つです。アルミ鋳造や樹脂成形、鉄を曲げるようなプレス技術など、基礎的な技術は一通り備えています」

 ――一方で、政府が「2050年までの温室効果ガス実質排出ゼロ」を宣言しました。自動車業界では、エンジンを必要としない「脱ガソリン車」へのシフトが進んでいます。

 「『脱炭素』への取り組みを、緩めることはできません。ただ、電動化といわれると、電気自動車(EV)が一番に挙げられますが、電池のコストや性能に課題があり、現状の使い勝手はガソリン車に比べると落ちます。直近10年間は、(電気モーターとガソリンエンジンを組み合わせた)ハイブリッド車(HV)が現実的には主流になるでしょう。自動車業界としては、EVの低コスト化や、電池の性能向上への努力をする一方で、HVも従来の技術をもっと磨いて、燃焼効率を上げていけないといけません」

最も厳しいケースも想定

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 「電動化へのシフトは様々な…

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