「東電がにくい、でも…」福島シイタケ農家、苦悩と挑戦

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田中基之
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 福島県の沿岸部に南北に連なる阿武隈(あぶくま)山地はシイタケが名産で、栽培に使う原木も含め国内有数の産地だった。原発事故からまもなく10年。いずれの出荷も止まったままで各農家の苦悩が続いている。

 東京電力福島第一原発から西へ約17キロ。阿武隈山地のど真ん中にある田村市都路(みやこじ)地区に住む農家坪井哲蔵さん(72)は2月、自宅近くのコナラが群生する共有林に入った。シイタケ栽培に適した直径10センチ以上に成長した木を見て、「つらいねえ。山の姿は変わっていないのに、この木は全部、使えねえ」と、ため息をついた。

 震災前は伐採したコナラを直径約10センチ、長さ90センチの原木(ホダ木)に加工。県外に出荷しつつ、自らも菌を植え付けてシイタケ栽培もしていた。より自然に近い環境で育てるため、風味が強く、肉厚のシイタケは全国から注文もあった。

 阿武隈山地を中心に福島県は震災前、国内の1割弱に当たる年間約470万本の原木を生産し、全国3位の産地だった。味が良いシイタケが採れると評判で、約270万本は県外に流通していた。

「作れるようになる頃には作り手が」

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 しかし、原発事故によって…

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