若者支援団体に匿名の400万円「コロナ禍の助けに…」

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野田枝里子
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 「使うあてもなく簞笥(たんす)で今まで眠っていたものを、コロナウイルスなどによってお困りの方を少しでも助けることが出来ればと思い寄付いたします」。ある日突然、こんな手紙と現金が届いたら――。

 児童養護施設などで育った若い人たちを支援する団体「首都圏若者サポートネットワーク」(東京都港区新橋)に1月末、1通の白い封筒が届いた。厚みのある角2サイズ。ちょうど書類や冊子などが届く時期で、団体を運営するユニバーサル志縁センター事務局次長小山田織音(こやまだおりおん)さん(38)は「本か何かかな」と特に気にもかけず、机に置きっぱなしにした。

 中身に気付いたのは夜だった。はさみで封を開けると、エアクッションの封筒と、1通の手紙。「どうかこの寄付を貴団体の活動及びコロナ等によって生活が困難な状況となっている方のお役に立てるようご活用いただきたくお願い申し上げます」と印字されていた。100万円の札束が四つも入っていた。

 「あせってしまって。受け取っていいのかな、と」

 小山田さんは専務理事池本修悟さん(42)にすぐにラインで画像を送った。友人の弁護士に相談し、近くの愛宕署にも電話した。すると、「寄付の意思があるので、そのままお使いください」と言われた。

 差出人には「東京都大田区田園調布6丁目」の「田中実」とあった。「住所、氏名は架空のものです」と書いてあったが、念のためグーグルマップで調べてみた。やはりそんな住所はない。消印は2日前の「晴海」。心当たりはなかった。

 これまで、クラウドファンディングや企業からの寄付はあったが、個人から現金で400万円という大金を贈られたのは初めて。他の企業からの寄付金などと合わせて基金を作り、分配する支援先を募る。若者の就労支援や住居費用などに充てられる予定だ。

 小山田さんは言う。「住所も名前も架空のもの。追跡してほしくないのかなとも思うけれど、無事に受け取りました。寄付してくれた方には、何とか感謝の気持ちを伝えたいです」(野田枝里子)

同様の寄付、全国で相次ぐ

 同じ文面による「匿名の寄付」は、全国で相次いでいる。

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