「2050年実質ゼロ」 脱炭素目標の“残念な現実”

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多事奏論 原真人編集委員

 世界はさながらグリーンバブルだ。温室効果ガスの排出削減をめぐって各国は相次ぎ野心的な目標を掲げ、環境ビジネスの育成に巨額予算をつぎ込もうとしている。

 菅義偉首相も昨秋「2050年の実質排出ゼロ」を宣言。年末にはグリーン成長戦略を発表して本格的に参戦した。これをメディアはこぞって評価する。

 米国もこの問題に熱心なバイデン政権が世界の排出量を50年までに実質ゼロにする「パリ協定」に復帰。温暖化サミットを4月にも開催する。菅首相はこれに参加する意向だ。まるでどこかで見た光景である。

 12年前、当時の鳩山由紀夫首相は米ニューヨークでの国連気候変動サミット開会式で「20年までに1990年比で排出を25%削減する」と演説し喝采を浴びた。この時も朝日などが社説で宣言を高く評価した。

 実はその論調をめぐり朝日の論説委員室では大激論があった。大半の委員は賛成、反対は私を含めて少数。私が評価できなかった理由は数値目標も実現へのロードマップもあまりに現実ばなれしていたことだ。

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 鳩山政権の目標年の昨年、世…

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