住宅向けの太陽光パネル、「無料設置」のサービス拡大

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橋本拓樹
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 太陽光発電のパネルメーカーなどが、住宅の屋根にパネルを無料で設置し、電気を使ってもらうサービスを広げている。設置費用を負担する代わりに、月々の利用料を受け取る仕組み。高額な初期投資のハードルをなくして、パネル需要が見込める住宅市場の開拓を加速するねらいだ。

 パネル製造を手がける京セラは、関西電力と共同出資して「京セラ関電エナジー(KKE)」を2019年に設立。同社は関東や中部地方で、新築やリフォームをした住宅に京セラ製パネルを無料設置するサービスを展開している。

 家主は太陽光で発電した電気を使い、その料金を支払う。自家発電で足りない電気はKKEが有料で供給する。4人家族のモデルケースの試算では、年間の負担額は計約15万5千円。同じ状況で東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bを契約した場合に比べ、1万円ほど安くすむという。

 パネル設置の初期費用は、一般的に100万~200万円ほどとされる。家主には大きな負担で、パネル導入をためらう理由にもなりかねないが、このサービスでは不要だ。

写真・図版

 また10年の契約期間が過ぎると、パネルの所有権はKKEから家主に移る。余った電気を売ったり、蓄電して使ったりもできる。自家発電分の電気代を支払う必要もなくなる。

 一方、KKEは家主から受け取る料金の一部から、最初に負担したパネル設置費用を回収する。また、契約期間の10年間は、再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度(FIT)」を利用するなどし、余った電気を売ることでも収益を得る。

 パネルの価格が安くなり、初期費用を負担しても回収が容易になっている。京セラ、関電とも顧客層を広げる方針で、他地域への進出も検討している。

 こうしたサービスは、「第三者所有モデル」や「PPA(電力販売契約)モデル」と呼ばれ、ここ数年で増えている。首都圏では東電の子会社と住宅設備大手LIXIL(リクシル)の合弁会社なども取り組む。関西でも関電の子会社が20年11月からパネルメーカーの長州産業(山口県山陽小野田市)とサービスを開始。こちらはKKEとは異なり、自家発電分の料金を支払う必要はない。

 住宅向けパネル需要は再び増えつつある。太陽光発電協会(JPEA)によると、住宅の太陽光発電の導入件数は、FITが始まった12年度が約42万6千件でピーク。17年度は約13万3千件に減ったが、19年度は約15万1千件に増加した。

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