無花粉スギ研究、花粉症対策に期待 目指すは地元産

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米山正寛
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 スギの花粉が飛ぶ季節がめぐってきた。国民の3割がスギ花粉症に悩んでいると言われる。花粉の発生源対策の一つとして、ほとんど花粉を出さない少花粉スギや、全く出さない無花粉スギへの植え替えが奨励されている。花粉を出さなくなるしくみの研究の進展をもとに、効果の高い無花粉スギの探索と開発は、より地域に根ざした方向へと移行しつつあるようだ。(米山正寛)

対策苗木の普及に地域差

 林野庁が定めたスギ花粉発生源対策推進方針は、柱の一つに花粉症対策の苗木(少花粉スギや無花粉スギなど)による植え替えを挙げている。

 スギ苗木の生産量は年間2千万本前後で推移している。うち花粉症対策の苗木は、2018年度の集計で51・8%にのぼる。08年度の4・1%から伸びており、ここ数年は伸びが大きい。普及状況には地域差があり、例えば関東では100%近いが、本数としては多くない。同庁森林利用課の神山真吾課長補佐は「九州のような林業地で生産が伸びていることが押し上げの要因だ。当面は32年度までに約7割を目指す」と説明する。

 ただ、現状で多数を占める少花粉スギは花粉をつくる能力が残っているため、年や環境による生産量の変動があったり、子孫に同じ性質が伝わっているかが必ずしもはっきりしなかったりする。花粉の発生を抑える点から無花粉スギの普及を図るのが確実だ。

 無花粉スギは1992年に初…

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