中東イエメンの沖合に放置されている1隻の石油タンカーが国際的な悩みの種になっている。船体が老朽化し、油の漏出による海洋汚染や大爆発の懸念が浮上。国連が再三にわたり調査団派遣を試みているが、6年前から続く内戦が障壁として立ちはだかる。(ニューヨーク=藤原学思、ドバイ=伊藤喜之)
「(石油の)漏出は、イエメンの市民だけでなく、紅海周辺の全域に壊滅的な生態学的、人道的、経済的影響を与えることになる」
国連のデュジャリック報道官が2月24日、危機感をあらわに語った。
国連によると、問題となっているタンカー「セイファー」は1976年に造られ、もともとは日本企業が所有していた。86年にイエメンの国営石油会社の手に渡った後、同国西部マーリブ周辺の油田で採掘された石油を貯蔵、輸送するために使われた。
2015年に内戦が始まり、反政府武装組織フーシと暫定政権を支援するサウジアラビアなどによる有志連合軍の間で戦闘が本格化。タンカーの維持管理ができなくなった。現在はフーシが支配するイエメン西部ホデイダ県のアイサ岬沖約8キロに停泊したままになっている。
船に積まれたままの石油は1…
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