第2回国家元首は輪番制 コネと癒着で遠のくボスニアの統合

有料記事ボスニア 分断の現在地

バニャルカ=国末憲人
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ボスニア 分断の現在地:中

 民族や地域によって幾重にも分断されたボスニア・ヘルツェゴビナで、国家元首にインタビューできることになった。国家元首は普通1人だが、この国では輪番制。主要民族のボシュニャク系、セルビア系、クロアチア系がそれぞれ選出する大統領3人が、8カ月交代で務めている。(バニャルカ=国末憲人)

 その役は現在、セルビア系のミロラド・ドディック氏(61)が担う。インタビューの場所も国の首都サラエボではなく、セルビア系住民中心の「国家内国家」ともいえる「スルプスカ共和国」の首都、バニャルカだった。

スルプスカ共和国とは

 国家の下で、ボシュニャク系とクロアチア系が主体の「ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦」と、セルビア系主体の「スルプスカ共和国」の両構成体が、国土を二分する。さらに、中央政府直轄の「ブルチコ行政区」がある。

 スルプスカ共和国は、ボシュニャク系とクロアチア系が主体の「ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦」とともに、ボスニアの国土を二分している。1995年の和平協定以後、スルプスカ共和国は独自の憲法や政府を持つ。国家としての求心力確保を目指す中央政府や国際社会には独立をちらつかせつつ、権限を手放そうとしない。

 ドディック氏はこの共和国で当初、欧米との協力や民族間協調を掲げる政治家として台頭した。だが次第に強権性を強め、今では欧米各国からも地元でも利権を一手に握るボスと見なされている。司法への協力が不十分で国家統一を阻害しているとして、2017年には米国の制裁対象となった。

 共和国政府の与党「独立社会民主同盟」本部で会ったドディック氏は、身長1メートル90を超える堂々たる体格だ。紳士的な口調ながらも批判を寄せ付けない迫力を備えていた。

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 「ボスニアは、一つの確固た…

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