最恐ウイルス「エモテット」壊滅 極秘テントウムシ作戦

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編集委員・須藤龍也
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 世界規模で被害が広がり「最恐」とも言われたコンピューターウイルス「エモテット」が1月下旬、壊滅した。欧米の捜査当局が連携した極秘の「テントウムシ作戦」の成果だ。首謀者のハッカー集団も浮かび上がり、実態解明に期待がかかる。

 黒ずくめの捜査官3人が古いアパートに突入する。バールのようなもので扉をこじ開けると、室内には内部がむき出しの複数のコンピューター。大量のハードディスクも押収された。

 エモテットを操っていたとされるハッカーの活動拠点をウクライナの警察当局が捜索。同国警察が1月27日、ユーチューブに映像を公開した。別の家から札束や金の地金、銀行カードなどを押収する様子なども映っていた。

 地元メディアによれば、捜索先はウクライナ第2の都市ハリコフにあるという。同国警察は声明で、サーバーを管理していたウクライナ人2人を拘束し、「国際的なハッカーグループの他のメンバーも特定された」と説明。幹部は動画の中で、エモテットによるサイバー攻撃が欧米の金融機関などに25億ドルの損害を与えたと語った。

 エモテットは、実在の人物や組織になりすましたメールの添付ファイルを開くことで感染するウイルス。感染したパソコンの受信メールを盗み取り、巧妙ななりすましのウイルスメールを送信元に返信する手口で感染を広げてきた。2014年に見つかり、世界で170万台以上のパソコンが感染したとの報告がある。

 欧州刑事警察機構(ユーロポール)の発表によれば、テントウムシ作戦にはオランダドイツ、米国、英国、フランスリトアニアカナダ、ウクライナの捜査当局などが参加した。

これから動き出す、もう一つの作戦

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 パソコンに感染したエモテッ…

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