死者急増、止まった教会の鐘 コロナ1年よみがえる記憶

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ネンブロ〈イタリア北部〉=河原田慎一 ベルリン=野島淳 疋田多揚 ロンドン=和気真也
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 欧州で新型コロナウイルスの感染爆発が始まって2月下旬で1年が経った。最初の震源地となったイタリア北部ロンバルディア州では、市民が日常を取り戻すのにもがくなか、新たな脅威に直面していた。

 広場に色とりどりの紙吹雪が舞い、仮装した子どもが歓声を上げて走り回る。同州ベルガモでも、今月15日、イタリアの「カーニバル(謝肉祭)」を祝う光景が広がっていた。だが、夕方になると、人通りはなくなった。州間の移動や夜間外出の禁止など厳しい行動制限は課されたままだ。

 1年前の2月21日、同州コドーニョで欧州最初の集団感染が確認され、ベルガモを含むセーリオ川流域の地域でほぼ同時に広がっていたことが判明した。

 「今も子どもは家に閉じこもってわがままを言ったり、おねしょをしたり。大人でも外出できない人がいる。コロナ前の日常? もう戻れない」。ベルガモ郊外の町ネンブロで、7歳の娘を遊ばせていたラウラ・モラレッリさん(46)は、そう嘆いた。

 人口約1万1600人のネンブロでは、2月23日に最初の死者が出て以来、1カ月間で例年の年間死者数を超えた。救急車のサイレンが一日中鳴りやまず、逆に死者が出たことを知らせる教会の鐘は、いつしか鳴らなくなった。「5月にロックダウンが緩和され、初めて住民と一緒に泣くことができた。まさに戦争だった」。クラウディオ・カンチェッリ町長(65)は振り返る。

変異株、脅威ふたたび

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 現地医師によると、ベルガモ…

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