不具合相次ぐCOCOA、開発費9割超で3社に再委託

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山本恭介
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 新型コロナウイルス感染者と接触したことを通知するスマートフォンのアプリ「COCOA(ココア)」をめぐり、厚生労働省から開発を委託されたIT企業が、契約金額の9割を超える費用で別の3社に再委託していた。不具合が報告されながら長期間放置された背景には、こうした複雑な契約構造で責任の所在があいまいになったとの指摘も出ている。

 厚労省によると、同省は昨年5月、IT企業「パーソルプロセス&テクノロジー」(東京)と随意契約を結び、約3億9千万円でCOCOAの開発を委託した。パーソル社は「エムティーアイ」(同)や「日本マイクロソフト」(同)など3社に計約3億6800万円で再委託し、さらにエムティーアイは別の2社に再々委託している。アプリは昨年6月に提供が始まった。

 COCOAをめぐっては、昨年5月25日に安倍晋三首相(当時)が「利用開始のめどは6月中旬」と発表。短期間での開発を迫られた厚労省が、すでに感染者情報を管理するシステム「HER―SYS(ハーシス)」の開発を委託していたパーソル社に追加でCOCOA開発を委託した。パーソル社は約2200万円を自社の取り分として工程・品質管理を担当し、事業の大半を他社に再委託した。

 厚労省は通知で、再委託契約の金額の比率が委託契約の50%を超えることを原則禁止している。パーソル社の再委託比率は9割超にのぼり、この原則から外れるが、厚労省の担当者は「業務が多岐にわたっており、例外的に認めることになった。手続き上も問題はない」としている。パーソル社は取材に「委託内容に応じて再委託の方針を決め、厚労省に再委託先や再委託金額について承認を得ながら進めた」と回答した。

 COCOAは、感染者から1メートル以内に15分以上いた場合に接触を知らせるアプリ。これまでに2570万件ダウンロードされた。政府は、利用者が増えれば感染拡大防止が期待できるとし、GoToトラベル事業でも旅行者に利用を促した。だが、アンドロイド版で昨年9月から通知が届かないなど、不具合が相次いだ。利用者から「通知が届かない」などとする指摘が出ていたにもかかわらず、厚労省が不具合を発表したのは今年2月3日と遅れた。

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 修正版の配布は2月18日か…

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