第2回タン氏両親支えはトットちゃん 「登校しない」受け入れ

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オードリー・タンの教育論②

 台湾の新型コロナ対策で世界的に注目を集めた「天才IT担当相」、オードリー・タン(唐鳳)氏(39)は、小学校でいじめに遭い、学校に通えなくなった。両親はそれを受け入れて自学の道を進ませたが、当時の台湾では異例の決断だった。家族の葛藤はどんなものだったのか。朝日新聞のインタビューに応じた父親の唐光華さん(69)は、世界中でベストセラーになった日本のあの本が、一家の教育方針に影響を与えていたと明かした。

「親は子どもの側に問題があると考えてはいけないと思います。親が子どもを守らなければ、子どもは生きていけないのです」(オードリー・タン氏の父、光華さん)

 記者は1月下旬、光華さんの自宅そばにある喫茶店で約3時間にわたって話を聴いた。光華さんはタン氏と同様180センチ近い長身。温和な表情を浮かべながら記者の質問に答え、記者の求めに応じて、自分が幼いタン氏を抱いたスナップなど5枚の貴重な写真も見せてくれた。光華さんは長年勤めた台湾の新聞社を退職後、「自主学習促進会」という非営利組織(NPO)で、不登校の子が自宅で学べる教材を研究したり、教師や子どもたちと勉強会を開いたりしているという。

【連載初回】 タン氏、原点は不登校 独学で開いた世界

台湾の感染対策の中心人物の一人、オードリー・タン氏の半生や教育論を6回の連載で伝えます。

 ひとしきり質問に答えた後、記者が「日本について何か疑問があればお話ししますよ」と伝えると、さっそく「日本はどうして国外の先進的な知識を導入しながら、伝統文化を守り続けられるのか」と尋ねた。さらに後日、メールでも「日本が何世代にもわたって、匠(たくみ)の技術を継承できているのはなぜなのか」「日本の学校教育は詰め込み式になっていないのか」といった疑問を寄せた。タン氏と同様、台湾をよりよい社会にしたいという強い思いがうかがえた。

「どうしてお母さんまでわかってくれないの」

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 光華さんによると、タン氏は…

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