考えさせて伸ばすには?
「野球をやっている人って、使えないよね」
大学まで野球を続けていた小林巧汰さん(27)=東京都世田谷区=は4年前、当時勤めていた銀行で耳にした同僚の言葉が忘れられない。
弁護士や会計士、トップ行員らがそろう投資銀行業務の職場だった。
直接、自分に向けられたわけではかったが、悪気のないその言葉に、言い返せなかった。
思い当たる節があった。
米国留学していた大学生時代に味わったショックだ。
小中高校と神奈川県の強豪チームでプレーした。米国の大学で金融を学びながら野球を続けた。1年生の時、寮の部屋で野球部の4年生の米国人に聞かれた。
「どうして野球をやっているの?」
何を今さら?
不意を突かれ、答えられなかった。
その先輩は、さらりと言った。
「僕は人生を楽しくするためにやっている」
やる? やらされる?
振り返れば、小学生の時は投げすぎでひじを壊した。中学時代は厳しい練習に耐えたが、高校で再びけがに苦しんだ。
やりたくて始めた野球なのに、練習も試合も、やらされていた。野球を楽しいと感じる瞬間には、出あえなかった。
チームメートのシンプルな問いかけに考えさせられた。
「何のために野球をやってきたんだろうか」と。
日本の野球人を「使える」ようにするには。記事後半で小林さんの挑戦を描きます。
米国の大学の監督は、選手と…
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