五輪組織の周辺で「何も言わなかった人たち」 委員指摘

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伊木緑 河崎優子 前田大輔
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 東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言でかすんでしまった、「多様性と調和」という東京大会の理念。組織委には、こうした理念に基づいて持続可能な大会運営を目指す「人権労働・参加協働ワーキンググループ(WG)」がある。取り組んできた委員らは一連の経緯をどう受け止めたのか。

「ネガティブな出来事にも発言する義務を負う」

 スポーツと性的少数者について情報発信するため、昨年10月に東京・新宿にできた施設「プライドハウス東京レガシー」の運営責任者、松中権(ごん)さん(44)は自らゲイを公表している。五輪憲章に「性的指向による差別の禁止」が明記されたこともあり、2018年からWGの委員に加わった。

 プライドハウスの取り組みは東京大会の公認プログラムでもある。プライドハウスは10年バンクーバー冬季五輪以降、大会ごとに設置されたが、五輪で常設の施設は東京大会が初めてだ。「五輪憲章の理念の実現を期待すると同時に、五輪ムーブメントの一員として積極的に社会に働きかけていきたいと思っていた」

 それだけに、今回の森会長の発言や組織委の対応には「理念や対策が浸透していなかった」と残念がる。今回の問題を受け、運営団体として組織委に公開質問状を出した。「性差別がスポーツ界にいまだ根強く残っていることを示唆するものだ」と指摘し、防止策と差別が起きた際の対応について問いただした。

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 松中さんは「スポンサー企業…

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男女格差が主要先進国で最下位の日本。この社会で生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。性別に関係なく平等に機会があり、だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダー〈社会的・文化的に作られた性差〉について、一緒に考えませんか。[もっと見る]