インド北部ウッタラカンド州で7日に起きた洪水で、同州首相は8日、18人が死亡し、約180人が行方不明になっていると発表した。ヒマラヤ山脈の氷河が崩れたのが原因とみられ、地球温暖化などの影響を指摘する声が出ている。政府は救助活動とともに原因の解明作業を進める。
現地報道によると、洪水があったのはガンジス川上流部の標高約2千メートルの地点で、約7800メートルの高峰ナンダデビのふもと。2月の気温は朝晩に零下になるが、日中は20度まで上がることがあるという。
現地時間7日午前10時半(日本時間同日午後2時)ごろに発生した洪水は、下流の二つのダムを壊し、五つの橋を流した。行方不明者の大半は、下流の水力発電所の建設作業に当たっていた労働者だった。15人が救助されたほか、作業現場のトンネル内に約35人が閉じ込められており、救出作業が続いている。
同州では2013年、モンスーンによる豪雨で洪水が起き約6千人が死亡したが、今回は目立った降雨は確認されていないという。
内外の専門家らは近年、温暖化でヒマラヤの氷河が急速に解け、洪水を引き起こす恐れを指摘してきた。現場周辺の氷河に詳しく政府の調査チームにも加わる研究者のマニシュ・メータ氏は「一帯の氷河の面積はこの30年で10%減った」と話し、今回の事故に温暖化が影響した可能性を指摘する。
現場一帯も含め同州では多くのダム建設が進められている。政府の水資源担当相も務め、ガンジス川やその支流域でのダム建設に否定的だったバーラティ氏は、現地メディアに「生態系が影響を受けやすいヒマラヤ一帯でダムを造るべきではない」とし、温暖化も含めた複合的な要因があった可能性を示唆した。
ネパールを中心にヒマラヤ地…
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