コロナ禍でも飛躍目指す フェンシングの成田琉夏さん

松村北斗
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 新型コロナウイルスの影響で国内外の大会が相次いで中止になる状況でも、世界での活躍を目指し、多くの選手たちが練習を重ねている。秋田出身のフェンシング・女子エペ種目の成田琉夏(るか)さん(20)=専修大2年=もその一人だ。

 今月2日、秋田市の県スポーツ科学センターに、自主トレーニングに取り組む成田さんの姿があった。昨年12月に冬休みで帰省したが、11都府県に緊急事態宣言が出たため大学のフェンシング部の練習がなくなり、川崎市にある寮に戻るのを遅らせた。小学生の時から通い慣れた練習場で、ジュニア選手らに交じって剣を握った。

 全身を攻撃できて、先に剣で突いた方に得点が入るエペ。「相手との駆け引きがとても好き。相手の思考の裏を読んで、得点を重ねるのが自分に合っている」と魅力を語る。聖霊女子短大付高校1、2年に個人で全国高校総体(インターハイ)連覇、団体でも2年の時に優勝した。

 大学に進んでも2019年10月、タイ・バンコクであったU23アジア選手権で優勝、全日本学生選手権も優勝と実績を重ねた。

 だが、新型コロナで一変した。昨年4~6月は対人練習が出来ず、自室でのトレーニングに限られた。国内の大会の中止が相次ぎ、米国で昨年4月に開催予定だった世界ジュニア選手権も中止に。「U20のカテゴリーで最後の大会。優勝を目標にしていたので残念だった」と振り返る。

 昨夏以降、大学の部活や合宿は再開されたが、寮生活ゆえ、自分が感染して周囲に広げたりしないか、精神的に疲れるという。練習場所への電車やバスでの移動も、常に新型コロナを意識する。「一刻も早く元の生活に戻りたい。海外の試合にも出たい」

 目標はシニアの国際大会で、これまで勝ち上がったことがない64強以上への進出だ。「壁を突破したい」。夢は2024年パリ五輪の代表。そのためには国際大会で安定して勝ち、ランキングを上げる必要がある。

 だが、用具や遠征費は原則自己負担だ。高校時代は節約するために、秋田から夜行バスで移動して東京の大会に出て、再び夜行バスで帰ったこともあった。

 練習に専念するため大学でもアルバイトはできない。17年から続く明治安田生命の支援と、親からの仕送りでやりくりしている。ただ、剣だけでも1本3万円程度、大会に出る際は折れることを想定して3、4本必要になる。ユニホームやマスクといった用具一式だと30万円以上かかる。コロナ対策で消毒液など新たな出費もかさむ。

 成田さんは「地元アスリート応援プログラム」(明治安田生命主催)に申し込み、クラウドファンディングhttps://a-port.asahi.com/partners/jimotoathlete/別ウインドウで開きます)を活用して今月いっぱい、遠征や用具に充てる資金を募っている。「フェンシングはマイナーな競技だけど、私を含めて頑張っている選手はたくさんいるので、活躍を見て欲しい。そのためにも支援をいただければ」(松村北斗)

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