対米関係、イランの学者が語る 「世界大戦の教訓再び」

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聞き手・飯島健太
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 米トランプ前政権がイランとの間に残したものは強い緊張だった。制裁や軍事組織の幹部殺害といった米国の揺さぶりに対し、イランは核開発の拡大や米軍が駐留するイラクの基地への攻撃で応じた。米国とイランの関係はどうなるか。強硬さが目立つイランの姿勢は、米バイデン政権のもとで変わるのか。イランの国際法学者ナバデ・トプチ氏(61)に聞いた。

Navadeh Topchi 1959年生まれ。テヘランの最高国防大学で博士号を取得。専門は国際法、公共政策。大学教授として長年教壇に立ち、安全保障の分野で多くの教え子が活躍している。国家間の紛争解決をめぐり、人道主義の観点を強調する。

 ――米トランプ前政権の4年間をどう見ていますか。

 「トランプ前大統領は、国をまたぐ問題や争いごとであっても自国の判断で突き進んだ。国際的な協調により解決手段を探るという、国際社会が共有してきた重要な理念や価値観の否定だった」

 ――イランは態度を硬化させました。

 「国家間の関係も『作用/反作用』の法則が成り立つ。米国の行動を受けてイランは反応してきた。米国は2018年に核合意から離脱した。核合意はイランと米英仏独中ロが話し合いを通じて結んだ多国間の成果だが、トランプ氏はイランだけが得をする『ひどい取引だ』と主張し、約束に反して対イラン制裁を再開した。精鋭部隊・革命防衛隊の司令官も殺害したが、いずれも国際的な規範や国際法に反する。緊張を生じさせてきたのは米国の方だ」

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 ――イランが「米国の行為は国際法違反だ」と訴えても必ずしも支持が広がっていない印象を受けます。

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 「各国は国際法を守る重要性…

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