仕組み債、損失トラブル相次ぐ 背景に「売れる法則」?

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松田史朗
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 証券会社などが扱う金融商品「仕組み債」をめぐって巨額損失トラブルが相次いでいる。訴訟などにかかわる弁護士らは、背景に顧客が「安全な商品」と信じてしまいやすい法則性があるとみる。具体的にどのように売られ、損失が広がっていくのかを取材した。(松田史朗)

 株や債券の問題を扱う弁護士らでつくる任意団体「全国証券問題研究会」のメンバーに相談が複数寄せられた仕組み債がある。株価指数や為替に連動する「リンク債」だ。約5年前に販売され、運用期間が満期を迎えた昨年以降、巨額の元本割れで顧客の苦情が増えているという。

仕組み債

通常の国債や社債は金利や元本の返済額や返済日が決まっているが、デリバティブ(金融派生商品)を利用した「仕組み」を加えて受取額が株価や為替などの金融相場で変わる債券。「高利回り」をうたう一方、株価などが契約時の設定基準を一度でも下回る「ノックイン」と呼ばれる状態になると、元本の損失が拡大する高リスクの商品もある。

 例えば、東京都内に住む70代の女性は約7千万円を元手に2014年以降、このリンク債など計十数商品を繰り返し購入してきた。だが計5千万円近くの損失を抱えることになり、弁護士に相談。現在、ADR(裁判外紛争解決手続き)か訴訟を検討中という。

 女性が15年に買ったリンク債は1本1千万円。日経平均株価ブラジル通貨レアルの二つの指標で金利や元本の変動割合が決まる商品だった。購入時は日経平均が約2万円、1レアル=約40円だったが、毎回の利払い日の日経平均と1レアルあたりの円が同額以上だと、「ノックアウト」という状態になり、満期を待たずに元本が100%償還され、金利も付く契約内容だった。

償還額の計算式にある「2」の意味とは

 だが日経平均が約1万2千円…

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