新型コロナ、人為説の真偽は? 起源を巡る三つの仮説

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編集委員・田村建二
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 新型コロナウイルスはどこからやってきたのか。世界保健機関のチームが中国・武漢に入り、ウイルスが人間に伝わった経路を調べる活動が本格的に始まっている。調査の焦点の一つは、感染した人の症状を重くしているとみられるウイルスの特徴がいつ、どのように生まれたかだ。その特徴とは何か。なぞを解くために、どんな調査が必要なのか。

研究者が注目する「RRAR」とは?

 新型コロナウイルスに関して、世界の研究者が注目しているアルファベット4文字がある。「RRAR」だ。

 Rはアルギニン、Aはアラニン。どちらも、たんぱく質の素材となるアミノ酸の略号だ。新型ウイルスの表面にある、とげのような形をした「スパイクたんぱく質」の一部に、アミノ酸がこのような順序で並んでいる。

 なぜ、この並び方が注目されるのか。理由は二つある。一つは、これまでに見つかっている新型コロナに近いウイルスのどこからも、この配列が見つかっていないからだ。

 2013年に中国南西部にある雲南省のコウモリから「RaTG13」と呼ばれるコロナウイルスが見つかっている。これは遺伝情報が新型コロナと96%一致していて、いわば「近縁ウイルス」だ。しかし、この配列はみられず、最後の「R」があるだけだ。

 全身が硬いウロコに覆われた哺乳類で、コウモリから人間に伝わるまでのあいだに感染した「中間宿主」かもしれないといわれるセンザンコウからのウイルスや、中国を中心に2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)のウイルスにも、やはりこの配列はない。

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 注目されるもう一つの理由は…

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