大音量が苦手な子もスタジアムへ センサリールームとは

有料記事

照屋健 遠田寛生
[PR]

 強い照明や大きな音が苦手で、スタジアムに行けない。そんな子どもに配慮した「センサリールーム」を競技場に設ける取り組みがサッカー界を中心に広がり始めている。合言葉は「誰もがアクセスしやすいスタジアムに」。これまで観戦に来づらかったファンや家族にも足を運んでほしい、という願いがある。

 1月4日、東京・国立競技場。約2万4千人の観客が集まったJリーグ・ルヴァン杯決勝のFC東京柏レイソルの一戦を、競技場内の一室から見つめる家族がいた。「ここに来られただけで感動しています」。長男の柾哉(まさちか)君(8)と訪れた山口健太郎さん(47)は感無量だった。

 柾哉君には知的障害があり、慣れない場所が苦手。2年前、FC東京の本拠、味の素スタジアムに行ったが、太鼓の音や声援を怖がって泣き出し、途中で外へ出た。気持ちを落ち着かせるために競技場の周りを散歩し、再び入場したが、すでに後半20分で試合はほとんど見られなかった。

 今回も嫌がるのではと不安だったが、「落ち着いて3時間近くいることができた」と山口さんは驚く。

 ルヴァン杯を主催するJリーグは今年初めて、競技場内にある6人ほどが入れる個室二つをセンサリールームに変え、2家族を招待した。センサリーとは「感覚の」という意味。個室だから状況に応じて窓を閉めたり、照明を落としたりしやすい。リラックスして座れる大型クッションや、パニックになった時に頭を入れ、外部の音を遮断できる箱のような器具も用意。FC東京と柏のスタッフが部屋にユニホームや旗などをセットし、特別感も演出した。

 「誰もが安心してスタジアムに来られるよう、みんなで考えることが、スポーツの機運を高めることにもつながる」。Jリーグで社会連携活動を担う鈴木順・社会連携室長は言う。

ここから続き

 英国では2012年のロンド…

この記事は有料記事です。残り1184文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら