旧優生保護法下の中絶・不妊手術、地裁が原告の請求棄却

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磯部征紀
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 旧優生保護法(1948~96年、旧法)の下で中絶と不妊の手術を受けさせられたとして、北海道の女性(77)と夫(故人)が国にそれぞれ1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4日、札幌地裁であった。高木勝己裁判長は、女性が不妊手術を受けたとは認めず、中絶手術についても「手術はあったが知的障害が理由だったとは認められない」として、原告の請求を棄却した。旧法の違憲性の判断も示さなかった。

 同種訴訟で中絶手術を受けたとされる原告への判決は初めて。訴状などによると、妻には乳幼期の熱病が原因とみられる知的障害があった。1977年に夫と結婚し、81年に妊娠。親族から「子どもの面倒を見切れないので、邪魔なものはおろして」と迫られ、夫は中絶と不妊手術の同意を求められた。夫は逆らえずに署名し、同年6月、妻は病院で手術を受けさせられたという。

 判決は、不妊手術を受けたことを裏付ける客観的な証拠がないなどと指摘。また、中絶手術を受けた理由については「経済的理由だった可能性も否定できない」と判断した。

 夫婦は2018年6月、子ど…

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