増田まんが美術館で矢口高雄「追悼展」 未公開原画も

山谷勉
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 【秋田】漫画「釣りキチ三平」の作者で、昨年11月に81歳で亡くなった矢口高雄さんの「追悼展」が、横手市の増田まんが美術館で開かれている。未完となった最後の作品の未公開分を含むすべての原画を、「鱗(うろこ)剝ぎ」として新たに公開するなど、資料や原画約300点を展示している。3月7日まで。

 「鱗剝ぎ」は、竜巻で養殖池から巻き上げられ、沼に落ちたコイを釣って業者にプレゼントしようとする場面から始まる。「釣りキチ三平」シリーズとして描いた「雨沼(うぬま)の鱗剝ぎ」の冒頭部分にあたる。

 会場には、セリフが入った冒頭部分の原画約40ページが展示され、物語の構想や72歳でペンを置いた経緯を自身の言葉で説明している。

 原画は2015年に矢口さんから美術館に寄贈された4万2千枚の中にあったが、全ページの公開は初めて。大石卓館長は「5分の1程度しか完成していないが、印刷レベルに仕上がり、発表しようとしていたことが確認できる。ファンの皆さんと共有したかった。続きはそれぞれの想像

力で……」と話す。

 追悼展は「もっと長く矢口さんの展覧会を見たい」との声に応えたもので、先月11日まで開かれていた「矢口高雄画業50周年記念展」の第2部「時代を語る『マンガ万歳』より」の内容をより充実させた。

 作品に描かれた雪景色を集めた「雪と故郷二十景」も新たに展示。「画業50周年記念展」では1部にあった「アトリエ」や「矢口先生への、50の質問」なども引き続き展示している。

 若い時に食堂や喫茶店などで作品を読んだという秋田市の男性(73)は「主人公の愛くるしい笑顔や前向きな姿勢が好きだった。秋田の自然もていねいに描かれている。『雪と故郷』は今年の風景にぴったり。秋田が全国に誇る漫画家だ」と話した。

 観覧料は大人800円。午前10時~午後6時。16日(火)は休館。(山谷勉)

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