コロナ対応「学長の本質明らかに」 旭川医大解任の院長

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井上潜 本田大次郎 原田達矢
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 旭川医科大学(北海道旭川市)で、吉田晃敏学長の新型コロナウイルスに関する不適切な発言や、コロナ患者受け入れを巡る学長と旭川医大病院長との対立が相次いで明らかになった問題で、院長を解任された古川博之氏が1日会見した。古川氏は解任理由は不当だとし、処分の撤回を要請。14年近く学長を務める吉田氏のガバナンス(組織の統治)も批判した。(井上潜、本田大次郎、原田達矢)

 旭川市役所で会見した古川氏は、解任理由に反論する文書を公表。昨年4月の全学説明会の模様を録画し、職員に見せたことは認めたが、学外には「漏洩(ろうえい)はしていない」と否定。学長の不適切発言があった11月の大学運営会議の録音・録画はしていないという。

 しかし、大学の顧問弁護士からは「会議に出た他の出席者がみな否定した。(漏洩したのは)あなたしかいない」と言われたといい、「解任ありきの判断」「状況証拠だけでは有罪にならないのは裁判では常識」と批判した。

 また、吉田病院のコロナ患者の受け入れを巡る問題では、同病院でのクラスター(感染者集団)発生前の昨年11月1日時点で病床を用意できており、受け入れは可能だったと主張。受け入れを拒んだ吉田学長が院長辞任を求めた発言については「パワハラがあった事実は変えようがない」と述べた。

 吉田学長との関係については、「(自身の)院長就任は学長の推薦だった。蜜月の時期もあった」とし、「新型コロナの対応で(吉田学長の)本質が明らかになり、(関係が)一気に遠ざかった」と話した。

 旭川医大では2019~20年にも、2教授が他の病院への医師派遣を巡る多額の報酬や、製薬会社から不正な報酬を得たことが明らかになり、吉田学長が謝罪する事態となった。同大で不祥事が相次ぐことについて古川氏は「ガバナンス(組織の統治)がめちゃくちゃになっている」とし、07年から14年近くの長期にわたり吉田氏が学長を続けていることの影響は「それも一つだと思う」と語った。

 古川氏はさらに、吉田学長の処分について議論する学長選考会議に対し、第三者委員会を設置して、学長の自らへの発言がパワハラに該当するかどうかなどを調査することを求めたいとしている。

記事の後半に会見の一問一答を掲載しています

学長選考会議、結論は出ず

 旭川医大は1日、学長選考会議を開き、吉田学長の新型コロナに関する不適切発言などについて議論した。関係者によると、会議で吉田学長の発言問題は報告されたが、処分については決まらなかった。一連の問題を話し合う第三者委員会を設置すべきだとの声も出たが、結論は出なかった。学長選考会議は後日改めて開かれる見込みだという。

 同会議は学長選考に加え、学長の業務執行状況などを議論するため設置されている。委員は14人で、旭川市の表憲章副市長ら地元の有識者や学内関係者が務める。

「学長の推薦で病院長になった」 会見一問一答

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 記者会見した古川博之・前旭…

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