「勝利よりも大事」差別に抗議、メダリストは拳を上げた

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ロンドン=遠田寛生 遠田寛生
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 人種差別をなくしたい。世界でそう声を上げるアスリートが増えている。昨年5月、米国で黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に首を圧迫されて死亡した事件を機に、黒人差別への抗議運動「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切だ=BLM)」が再燃。女子テニスの大坂なおみ日清食品)は、全米オープンで犠牲者の名前が入ったマスクを着けて登場し差別を非難した。問題を自分事に感じ、多様性を認め合う。私たちにできることは何だろうか。差別や偏見と闘う選手たちと考えてみた。(ロンドン=遠田寛生)

 大会で勝つと、差別的な言葉がSNSで飛んでくることがある。

 「黒人として生きるのは簡単じゃない。世界のどこにいても」。ジナ・アクペモーゼズ(アイルランド=21)はそう漏らした。

 2017年にあった20歳以下の欧州選手権の陸上女子100メートルで金メダルを獲得。アイリッシュ・インディペンデント紙によると、同国女子選手が欧州選手権の陸上100メートルを制したのはどの年代でも初めてだという。現在は英国で大学に通い、今夏の東京オリンピック(五輪)出場を目指している。

 昨年11月、その経験を語ってくれた。

 ナイジェリアで生まれ、3歳のころにアイルランドへ移住した。幸せに育ってきた。しかし、差別は日常に転がっていた。

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 学校で、クスクス笑いながら…

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