「発祥の地」なのに、しめ縄ない? ロックな宮司の挑戦
天岩戸神社(宮崎県高千穂町)で創建以来初めて、ご神体「天岩戸」にしめ縄を張った宮司の佐藤永周さん(37)。天岩戸は古事記や日本書紀の記述から「しめ縄発祥の地」とされるが、断崖絶壁にあり、実際に張られたことはなかった。神話と現代を結ぶ試み――その悲願をはたし、さらなる知名度の向上と地域の活性化をめざす。
「天岩戸神話は広く知られていますが、神社やご神体がどこにあるのかを知らない人が多いと感じます」
同神社の宮司を務める家系の長男。先代宮司の父延生さん(66)の話を聞いたり絵本を読んだりし、幼い頃から神話に親しんだ。物心つく前から「神職以外にやりたいことやなりたいものを見つけるひまもありませんでした」。
高千穂高校を卒業後、国学院大学神道文化学部(東京)に進んだ。勉学に励み、軽音楽サークルでギターを鳴らした。ミスター・チルドレンや英国のオアシスなど、神職とは遠いイメージのロック好きという。
「いずれは宮崎に戻る。可能なかぎり地元と違う環境で修行しよう」。そう考え、卒業後には東京都心の明治神宮に奉職した。
2年ほど勤めた2007~08年ごろ、体調を崩した延生さんから「帰ってきてほしい」と連絡が入るように。25歳で地元に戻ると、故郷は様変わりしていた。東国原英夫知事(当時)が全国で注目され、パワースポットとして高千穂峡や天岩戸神社に、かつてないほどの観光客が押し寄せた。
高千穂町の統計資料によると…
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