宮城県警石巻署が昨年11月、傷害容疑で逮捕した40代男性から申し出があったのに、国選弁護人の選任手続きを3日間取らなかったことが分かった。県警は「署員間の連携不足」と過失を認める一方、識者は「被疑者の権利を保障する感覚が失われている」と批判する。

 県警は昨年11月18日に男性を傷害容疑で逮捕。その後、男性が口頭で国選弁護人の選任手続きを依頼したのに、必要な書類を渡さず手続きを取らなかったという。男性が3日後に問い合わせて発覚した。男性は同月30日に不起訴処分(起訴猶予)となった。

 県警の内部調査によると、依頼を受けた署員が留置場の担当者に引き継ぐ際、「国選と弁護士会の名簿お願いして」とあいまいな指示をし、その後の確認も不十分だったという。

 刑事訴訟法に基づく警察の留置規則では、国選弁護人の選任手続きについて「被疑者から申し出があれば直ちに手続きを行う」と定めている。このため石巻署幹部が翌12月、「署員の連携不足や業務の引き継ぎが不徹底だった」と男性に謝罪した。

 県警によると、県内の各署の間で、勾留中の被疑者に弁護人がついているかの確認の度合いに濃淡があったため、昨年末、全署に確認と引き継ぎを徹底するよう緊急で指示した。

識者「警察、基本的な感覚が失われている」

 刑事手続きに詳しい関西学院大…

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