ある日世界がモノクロになった がんで夫を失う恐怖

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 臨床心理士の大岡友子さん(58)は、膵臓(すいぞう)がんの夫、久芳さん(享年49)を支えた経験を生かし、遺族のグリーフケアに携わっています。「親友のようでもあり、親のようでもあった」という夫を失った自身の経験や、自分を責める傾向が強い遺族のケアについて聞きました。

    ◇

 夫は2008年の1月、ステージ4の膵臓がんと診断されました。

 その前年に私は母を心筋梗塞(こうそく)で突然亡くし、落ち込んでいました。

 夫が「僕がお母さんの代わりをするから、立ち直ってくれ」と言ってくれていた矢先のことでした。

 診断後は困難の連続でした。治験にチャレンジした後に、抗がん剤治療を受けました。

 でも治療で血管や臓器がもろくなっていて、血小板の数が下がりやすくなっていたのです。

 退院してもすぐに胆管炎になり、激痛と高熱で再入院を繰り返しました。

 膵臓がんの5年生存率は当時数%でした。頭の中では「おそらく助からない」とわかっていましたが、それを認めたくなかった。

 あれほど現実から逃げた時はありません。

 夫は、年単位で生きることを目標にしていて、キャリアを積むためにも休職はしたくないと、とにかく働いていました。

 会社の産業医から「やりたいことを全てやり尽くすという選択肢もある」と休職を勧められたこともあったようです。

 その日、帰宅した夫は「休職を勧められたが、瞬時に断った」と話しました。

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 「あと数カ月しかないという…

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