「餓死しても生活保護は嫌」コロナ禍で困窮、でも彼女は

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編集委員・清川卓史
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 「生活保護は餓死しても受けたくない」。コロナ禍の貧困危機を昨春から取材してきて、最も衝撃を受けた言葉だ。命を守る「最後の安全網」であるはずの生活保護。どうしてこれほど忌避されるのか。

 「餓死しても」と言ったのは、月2万円の低年金を補うため非正規で働き続ける60代後半の女性だった。コロナ禍のなかで仕事が途切れ、暮らしの見通しが立っていない状況だった。

 この女性1人ではない。ネットカフェや路上で寝起きしながらアルバイトをする20代男性、派遣先の工場を雇い止めになって寮を出ざるをえなくなった派遣社員の20代男性――。「炊き出し」に並ぶ若い世代に話を聞いたときにも、仕事や住まいを奪われ所持金もわずかという苦境にあるにもかかわらず、「生活保護はいやです」と抵抗感を示す人に出会った。

 コロナ禍のなかでの生活保護申請は、昨年4月に前年同月比24・8%増とはね上がった。しかし5~8月の申請は前年水準を下回っている。9月、10月はいずれも前年比1.8%増と増加に転じたものの、上昇幅は大きくはない。

 要因のひとつは、家賃補助にあたる「住居確保給付金」など、生活保護手前の安全網を国が大きく拡充したことと考えられる。だが一方で、生活保護利用が必要なのに制度利用を拒む人が多くいることへの懸念が支援現場で広がっている。

 なにが利用を妨げているのか。

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 冒頭で紹介した60代女性は…

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