手探りコロナ対策の限界 分科会メンバーが明かす誤算

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聞き手・大牟田透
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 なぜ政府は2度目の緊急事態宣言に至ったのか。感染防止策はどのように議論されたのか。何が最大の誤算だったのか。政府の分科会などで新型コロナ対策の提言や評価に携わってきた大竹文雄大阪大学教授に話を聞いた。

 ――昨夏の第2波が下火になったとき、「新型コロナは制御可能」との見解を示しておられましたが、第3波が起きました。

 「私の見解はいまでも変わっていません。第2波では感染拡大リスクの高い飲食店をコントロールし、多くの人が対策すれば抑えられるという経験をしました。多くの専門家は『新型コロナは急所を押さえれば、ある程度制御できる』との認識を共有しています」

 「感染リスクが高い所に適切な対策を行い、人々の行動が変容していけば、感染がどんどん広がるものではないのです」

 ――しかし、政府は2度目の緊急事態宣言を出すことになりましたが……。

 「コロナに関する正確な情報やメッセージが市民に繰り返し伝えられて、危機意識が醸成されれば、新たな社会規範ができ、行動変容が起きます。今回、2度目の宣言を出すことになった最大の要因は、政府や自治体のメッセージが一本化されていなかった点にあります」

 ――大阪府や北海道の知事は住民にうまくメッセージを出していたのではありませんか?

 「たしかに昨秋、一足早く感染が広がった北海道や大阪府では知事が医療危機をきちんと市民に訴えるとともに、飲食店に対する営業時間短縮や自衛隊への協力要請をしました。これが人々の行動変容を促し、いったんは感染拡大が収まりました。しかしその間、首都圏の1都3県の知事は積極的な対応をしませんでした。政府の分科会は感染状況が2番目に深刻なステージ3になれば、飲食店の営業時間短縮や『Go To トラベル』の停止を提言し、何度も対策の強化を求めましたが、知事は『まだステージ3ではない』などと主張し続けたのです」

記事後半では、なぜ第3波を制御できなかったのかを分析。分科会での感染対策づくりの驚きの「内幕」も明かされます。

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■国民に広がった「慣れ」…

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