第8回買収阻止、小さくなった会社 社員減り本社は移転
ハゲタカと戦った328日⑧
ユニゾホールディングスは、社員による買収(EBO)を正式に決めるための臨時株主総会を2020年6月1日に開いた。
新型コロナウイルスの感染防止のため株主に来場自粛を求めていたこともあって、会場となった東京・日本橋のホテルに足を運んだ株主は十数人しかいなかった。会場に並べられた椅子はほとんどが空席のままだった。
少し前までユニゾ買収を競い合っていた投資ファンドたちは、株式を社員側の受け皿会社「チトセア投資」に売却しており、その姿はなかった。
総会が始まると、議長を務める社長の小崎哲資(69)からチトセア投資によるユニゾの完全子会社化の説明があった。質問は個人株主の1人から出ただけで、質疑が終わるとすぐに採決が始まった。
「ご賛同頂ける方は拍手をお願いします」。議長が呼びかけると株主たちから拍手が上がった。「上場企業で初のEBO」という企業買収の手続きは、総会開始から15分ほどであっけなく決まった。
この日は大手旅行会社エイチ・アイ・エス(HIS)がユニゾへのTOB(株式公開買い付け)を発表した日から328日目だった。有力投資ファンドたちとユニゾが、ほぼ11カ月にわたってしのぎを削った株式争奪戦は、ここで正式に幕を閉じた。
■所有ビルの約7割を売却…
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