桜田のSOMPO改革(上)
午前4時ごろ、事務室のパソコン画面に異変が映し出された。ベッドのセンサーが読み取った70代女性の心拍数が普段より高く、呼吸回数も多い。夜勤中だった施設長の向祥(むかいあきら)(41)が部屋に駆けつけると、けいれんする姿が目に飛び込んできた。慌てて救急車を呼び、女性は一命をとりとめた。
昨年11月、東京・高円寺の老人ホーム「そんぽの家」で起きた出来事である。
運営するのは、損害保険ジャパンを中核とするSOMPOホールディングス(HD)。ホームを所有する介護大手メッセージを2016年に買収し、睡眠時の状態がわかる最新の機器を導入している。向は「この技術がなければ入居者の朝ご飯の時間まで気づかず、手遅れになったかもしれない」と振り返る。
SOMPOが介護ビジネスに参入したのは2012年。居酒屋大手ワタミの介護事業子会社などを買収し、この分野の売上高は19年度に1284億円でニチイ学館に次ぐ国内2位になった。高齢者向け施設の居室数は約2万5600室と日本一になった。保険事業に次ぐ新たな柱として成長する。
急拡大の背景には、12年から社長を務める桜田謙悟(64)の強い危機感がある。
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