久々にヤクザを演じた舘ひろし、手本は石原プロの大先輩

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編集委員・石飛徳樹
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 石原プロモーションが58年の歴史に幕を下ろした。「自分が納得する映画作りをしたい」と国民的スターだった石原裕次郎が1963年に設立した会社だ。舘ひろしは石原プロの看板俳優の1人として「西部警察」などに出演してきた。彼は代表作「あぶない刑事」など警察のイメージが強いが、新作映画「ヤクザと家族 The Family」では取り締まられる側の暴力団の組長を懐の深い演技で表現してみせた。四十数年ぶりに演じたというヤクザのキャラクターは、舘が尊敬してやまない石原プロの大先輩を手本に作り上げたという。

「会社は乗り気じゃなかったんです」

 「会社は乗り気じゃなかったんです。なぜかって? それはハンシャの映画だからです。この手の映画が今、本当に少なくなりましたね。でも、僕は台本を読んで、絶対にやりたいと思いました」

 ハンシャとは反社会的勢力のこと。改正暴力団対策法が施行されて以後、日本の社会にはヤクザを排除する意識が浸透してきた。一方で、ヤクザはハンシャと呼ばれるようになり、元ヤクザや家族までが社会から差別を受けるようになっている。

 「ヤクザと家族」で藤井道人監督は三つの時代でヤクザを取り巻く状況の変化を描き出す。1999年、街の不良だった賢治(綾野剛)が暴力団員になるまで。2005年、賢治が兄貴分の罪をかぶって刑務所に入るまで。そして2019年。出所してきた賢治にかつての居場所はもうない……。

 舘が演じた広域指定暴力団「柴咲組」の柴咲博組長は、賢治の度胸を見込んで裏社会にスカウトする。柴咲組は組長の人間性を反映し、義理人情を重んじる古風な任俠(にんきょう)集団だ。父を亡くした賢治にとって、柴咲は人生の範となる父親のような存在になっていく。舘は言う。「ありきたりの言い方だけど、台本を読んだ時、家族の愛にあふれた作品になると感じたんです。ヤクザという疑似家族ではありますが、これは出演する価値がある、と思いました」

■「不良はよくやりましたけど…

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