2019年7月の参院選をめぐって地元議員らを買収したとして、公職選挙法違反罪に問われた参院議員の河井案里被告(47)=自民党を離党=に対し、東京地裁は21日午後、執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。記者は事件の舞台となった参院選広島選挙区を取材し、約5カ月に及ぶ案里議員の公判を傍聴してきた。取材や公判での発言から、垣間見えたものは――。

「政治の子」から一転、被告に

 18年秋、東京・永田町の自民党本部。案里議員は二階俊博幹事長(81)と面会し、参院選への立候補を打診されたと述べた。「『ぜひ出なさい。まずはのぼり1本を持って、街頭に立つことから始めなさい』と言われた」(被告人質問)

 防災、地域活性化、憲法改正……。当時広島県議だった案里議員にとって、求める政治は県政ではなく国政にあった。「国政に最後に挑戦するのもいいかもな。もしダメなら政治を引退しようかな」(同)。

 ともに同法違反罪で逮捕、起訴された夫の衆院議員で元法相の克行被告(57)=自民党を離党=からも、「あんたは『政治の子』。国政に出るチャンスがあればやりなさい」(同)と言われたという。

 ただ、地元の自民党広島県連は現職の溝手顕正氏(78)を支援することで固まっていた。一方、自民党本部は河井夫妻側に1億5千万円もの資金を提供。こうした資金提供について「知っていたが、いくらかは知らなかった。金の管理は主人に任せていた」(同)。選挙戦では応援のため安倍晋三首相(当時)や菅義偉官房長官(現・首相)、二階幹事長らが続々広島入りした。

 その結果、案里議員は溝手氏を押しのける形で初当選。「あの選挙は激烈だった。しかし多くの人に支えられ、正々堂々と戦い勝ったという自信があった」(最終意見陳述)。

「つまはじき状態」を迎え入れたのは

 広島県議から初挑戦で射止めた…

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