直木賞の西條さん「宝くじあたって、幸と不幸イーブン」

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構成・上原佳久 興野優平
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 第164回直木賞が20日、西條奈加さん(56)の「心淋(うらさび)し川」(集英社)に決まった。初めての候補入りでの受賞となった西條さんが会見で喜びを語った。

 ――いまの気持ちを。

 「いまはただ緊張しています。受賞の連絡を受け取るまでは、のんきに構えていたものですから。電話をいただいてから、急に汗が出てきたり、声がうわずったりしている状態です」

 ――以前の取材では「賞は宝くじのようなもので、あまり狙うものではない」「人間の幸不幸の総量はあまり変わらないので、作家になってもあまり変わらない」と。いま直木賞を受けて、幸せの量はどうか。

 「宝くじと言ったのは、当たったらいいなという夢のある感じが似ているなと思っていて、そのくらい私にとっては遠いもの、身近には感じられないものでした。いざ当たってみて、戸惑いの方が大きくて、もちろんうれしいし、光栄ではあるんですけども。幸せかというよりは、この後どうしたらいいんだろうという不安の方が大きくて、やっぱり幸不幸の量としてはちょうどイーブンくらいかなと思っています」

 ――選考の際に、「欠点のないところが欠点」と評価されたが、どう思うか。

 「欠点がないところが欠点というのは、ある意味最大の欠点かもしれないとは思います。本当は小説というのは、もっといろんな意味でとがっている方がいいんだろうなと思います。私はよくバランスがいいと言う評価のされ方をします。それは長所でもあり、やっぱり短所でもあると思います。欠点がないと言われるのは、非常に納得がいきます。決して喜んでいいことばかりではないんですけど、自分の中ですとんと落ちるものがありました」

シリアスで地味な作品が評価「驚きとうれしさ」

 ――第163回の馳星周さんに続いて、北海道出身者の受賞になりました。

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