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高齢者施設の虐待映像消した疑い 運営会社長ら書類送検

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笹山大志
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 兵庫県明石市の高齢者施設で2020年10月、元職員の女が入居者を虐待したとして逮捕される事件があり、虐待の場面を映したカメラ映像を男性施設長(52)ら2人が消去したとして、県警は20日、2人を証拠隠滅容疑で書類送検した。捜査関係者への取材で分かった。2人は消去したことを認めているという。

 虐待映像の消去を立件するのは異例。被害者の高齢男性は認知症で被害証言を得ることは難しく、県警は映像の消去が虐待の事件化を妨げたと判断した。

 捜査関係者によると、送検されるのは明石市のサービス付き高齢者向け住宅「シルバーハウスはやしの南」の男性施設長と、運営会社「メディカルネット」(神戸市須磨区)の男性社長(54)。

 送検容疑は、20年10月15日午後5時~午後6時半、「シルバーハウスはやしの南」で元職員の女(57)=暴行罪で懲役6カ月執行猶予3年=が80代の男性入居者を虐待する様子が映ったカメラ映像を削除したというもの。社長の指示で施設長が消去したという。

 虐待事件を調査、検証した明石市によると、女による虐待を疑った施設側が、室内にカメラをひそかに設置した。捜査関係者によると、虐待の場面が映った映像は県警が復元した。

 元職員の女の公判では、復元映像がモニターで公開された。女が入居者の男性の横腹を殴ったり背中を蹴ったりする様子や、踏みつけられた男性が苦しそうな声を上げる場面があった。

 施設長ら2人はこれまでの任意聴取に、「被害者や従業員のプライバシーを無視して撮った映像が世の中に出ると、施設の経営が立ち行かなくなると思った」と供述しているという。

 捜査関係者によると、施設側は明石市から促され、20年10月15日、県警明石署に虐待映像が入ったパソコンを持参した。署員に映像を見せたが、任意提出は拒んだ。県警が同19日に施設を家宅捜索した際、パソコンから映像が削除されていたという。

相次ぐ施設内での虐待事件

 施設内で入所者が職員らに虐待を受ける事件が相次ぐ。被害者が認知症や知的障害などで自ら被害を訴えられず、カメラやスマートフォンの映像で発覚するケースも多い。

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