小泉今日子が語る向田邦子 「存命なら、あて書きも…」

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構成・神宮桃子
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 脚本家、エッセイスト、小説家の向田邦子(1929~81)が飛行機事故で51歳で急逝して40年になる。俳優・プロデューサーの小泉今日子さん(54)にとって、向田は昔からずっと「憧れの人」。今月始まった没後40年特別イベントで、展覧会場に流れる向田作品の言葉を朗読している。小学生の頃に向田さんが脚本を手がけたドラマで知った「スイカ色」のマニキュアを探した思い出や作品の魅力、自身が50代になった際の新たなスタートなどについて語った。

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 今回朗読した向田さんの言葉は、どれもすてき。言葉は、一つのことを表現するのに無数に選べて、どれでもいいわけではない。プロの仕事だな、と思います。どんな顔をして書いていたのだろう、と向田さんが書いていた時間を想像しました。

 たくましい意気込みをつづった言葉もあって、私もまさに50代を迎えるときに、前進しようという気持ちになったんです。歩き出したもののうまくいかないこともあり、心細い気持ちになることもあるんですけど。だから、その言葉に会えてうれしかった。

 40代になった時、数人から「人生、折り返しだね」と言われました。聞いたことはあった言葉だけど、「えっ、折り返すの」と。でも、折り返したら、歩いてきた道を帰るだけだから、怖くないのではと思ったんです。今まではまっすぐな道だったから、どこに向かっているかわからず、ちょっと怖かった。でも折り返したら、今まで来たところを、ゆっくりと周りの景色を見ながら歩いていけばいいんだからね、という感覚になりました。そこから10年、40代は元気はつらつで、余裕を持って生きようと、楽しんだんですね。

 でも50代になったら、ずっ…

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