再稼働の命運握る規制委 厳しい審査に「歴史の皮肉」

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川田俊男 桑原紀彦
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 54基の原発をもつ世界3位の原発大国だった日本は、東京電力福島第一原発事故の後、約2年間の全基停止を経験し、ゼロから出直すことになった。これまでに再稼働したのは9基。反対の世論が根強いなか、国と電力会社はさらなる原発回帰を目指す。事故後に生まれた独立機関、原子力規制委員会が命運を握る構図になっている。(川田俊男、桑原紀彦)

 「関係者の懸命な努力にもかかわらず、まだ多くの原子力発電所が停止したままである。これほど多くの原発が再稼働に10年以上かかるとは思わなかった」

 内閣府原子力委員会の委員長だった岡芳明氏は昨年12月、退任にあたり、そんな所感をメールマガジンに記した。事故後、国内では21基が廃炉になり、24基が止まったまま。再稼働は、2018年6月の九州電力玄海4号機(佐賀県)の後、2年半以上途絶えている。電力大手や政府の幹部も「こんなに進まないとは」と口をそろえる。

東日本大震災で明らかになったずさんさ

 3基がメルトダウン炉心溶融)する世界最悪級の事故を起こした国で、再稼働が容易に受け入れられるはずはなかった。

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 当時の原子力安全・保安院は…

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