卓越した技巧、出し惜しみなく 幸せ届けた安野光雅さん

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編集委員・大西若人

 「絵描きは描くことで磨かれてゆく」と語り、最晩年まで描き続けた画家の安野光雅さんが、亡くなった。

 絵本を楽しむ子どもから風景画を味わう大人まで。おもに本や雑誌という場を通じ、これほど多くの日本人の目を楽しませた画家はいない。94歳で逝った安野光雅さんは、こう表現しても過言ではない。

 精緻(せいち)にも洒脱(しゃだつ)にも描ける。しかも品があって、風景や花の絵は叙情的。「ふしぎなえ」などのだまし絵風のものなら無類の楽しさがある。絵を見るたびに「こんなにうまく描ければ、どんなに楽しいだろう」と思わせる抜群の技量だった。

 楽しいのは絵だけではない。エッセーもユーモアにあふれ、ラジオの常連出演者だったこともある話術もしかり。おおらかそのものの人柄で、誰もがもう一度会いたい、と思わせる笑顔の持ち主だった。

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 絵と人間の魅力の背景には…

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