「裏切り者」扱いの業界 改善もくろみ動いた鶏卵マネー

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 国民1人が1日1個ほど消費する卵をめぐり、元農水相の起訴に至った汚職事件。その背景を3回にわたって報告する。

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 「民主党についた養鶏協会は出て行け」

 自民党安倍政権が2012年末に政権を奪い返した直後、牛、豚、鶏などの畜産業者が集まった自民党の会合に出席した養鶏協会幹部は、「農水族」議員の西川公也・元農水相が大声を上げたのを覚えている。

 そんな状況に危機感を抱いたのが、業界2位の鶏卵大手「アキタフーズ」(広島県福山市)の秋田善祺前代表だった。秋田氏は長年支援してきた地元選出の亀井静香氏が国民新党代表として09年に民主党と連立を組むと、民主党政権の支援に回った。政権復帰した自民党から、養鶏業界は「裏切り者」(アキタ社関係者)扱いされたという。

 秋田氏が自民党対策の足がかりにしたのが地元の河井克行・元法相で、13年から会社として政治献金を始めた。「河井氏と関係を作り農水族を紹介してもらう」(同)作戦は奏功し、いずれも初当選同期の西川氏(栃木)と吉川貴盛・元農水相(北海道)の紹介を受けた。そして、西川氏には14年から、吉川氏には15年から、盆暮れなどに現金を持参するようになったとされる。

 秋田氏は政界工作の狙いをこう供述したという。「自民党との関係を改善し、業界のために動いてもらえるようにしたかった」

「年上の西川が兄貴分、吉川が弟分」

 2018年11月21日「吉川大臣就任お祝いの会」

朝日新聞は秋田フーズ前代表のスケジュール帳のコピーを入手しました。そこに記入されていたのは――。

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 19年3月26日「吉川大臣…

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